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主体性


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 子どもたちに「何をしたい?」と尋ねると、ときに返ってくるのは「特にないです」「やりたいことがありません」という答えです。

 その言葉の背後に、どんな気持ちや背景があるのだろうかと考えさせられる瞬間があります。


 私たち大人が玩具や活動を用意しても、子どもが興味を示さないことがあります。

自分で想像して遊びを広げることが難しかったり、「こうしたい」と提案する力がまだ育っていなかったり。

 あるいは、本当はやりたいことがあるのに、それを伝えるのが恥ずかしかったり、言葉にすること自体が難しかったりするのかもしれません。


 だからこそ、職員は粘り強く環境を整え、提案を続けることが大切です。

 しかし同時に気をつけたいのは、大人の声かけや選択肢の提示が多すぎてしまうことです。

 あまりに大人が主導してしまうと、子ども自身が「考える」「望む」「選ぶ」という力を発揮する機会を奪ってしまうかもしれません。匙加減は本当に難しいところです。


 私は、主体性とは『したい性』だと思っています。

 これは単なるダジャレではなく、子どもの発達を考えるうえで本気の言葉です。

 人間は環境に適応してしまう生き物だからこそ、受け身になりすぎることもある。

 だからこそ、「小さなしたい」を大切にし、少しずつ形にしていく場が必要なのです。


 遊びの中で「したい性」が芽を出し、伸びていくとき、子どもたちは自分の世界を創り始めます。

 その小さな積み重ねが、やがて生きる力へとつながっていくのだと思います。


(文責:熊谷)

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