「自分で決める」という支援
- グループホームすずらん
- 6 時間前
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一気に季節が変わり、ようやく秋がやってきましたね。外を歩いていると金木犀の香りが漂い、空には秋らしい雲が浮かび、心地よい風が吹くようになりました。
すずらんの利用者さんの中には、今、転職を考えている方が何人かいらっしゃいます。
一般就労(障害者枠)から他の一般就労先へ。あるいは、福祉的就労と呼ばれる就労継続支援B型から、より一般就労に近いA型へ。
それぞれが、
「今、何ができるか」
「何をしたいか」
「これから、どんな自分になりたいか」
「自分の心にとって安心安全な場で働くには」を考えながら、新しい一歩を踏み出そうとしています。
けれども、ひとことで“考える”といっても、その範囲や深さは人によって違います。それは知的障がいや精神障がいの特性による違いもありますが、何よりも、一人ひとりが歩んできた時間や経験の違いが大きいのです。
すずらんは、知的や精神に特性のある方々が【安心して暮らせるグループホーム】です。
仕事や人間関係など、それぞれが日々の生活の中で小さな目標を見つけ、少しずつ自立を目指しています。
そんな利用者さんたちが「転職してみたい」「このままでいいのだろうか」と考えるようになることは、私たちにとってとても嬉しい変化です。なぜなら、それは“自分の人生を自分で考える力”が育ってきた証だからです。
けれども、「考える」とひとことで言っても、その範囲や深さは人によって違います。それは知的や精神の特性による違いもありますが、何よりも、一人ひとりが歩んできた時間や経験が異なるからです。
たとえば、すずらんを始めたばかりの頃に出会った利用者さんと、6年間を共に過ごしてきた今の利用者さんとでは、「今」の姿はまったく違います。日々の暮らしや支援を重ねる中で、できることや考えられることが少しずつ増えてきたのです。
ですから、「転職してみたい」「このままでいいのだろうか」という気持ちは、決して不安の表れではなく、むしろ【自分を見つめ直そうとする成長のサイン】だと感じています。
ただ、「職場を自分の意思で選ぶ」というのは、簡単なことではありません。特に特性のある方々にとっては、支援のあり方ひとつで結果が大きく変わることがあります。
一般就労を目指す場合には「就労支援事業所」の方が、福祉的就労(A・B型)の場合には「相談支援専門員」がサポートに入ります。
でも、私たちグループホームは“家”です。家に帰ってからの会話や、日々の小さな気づきが、本人の進む道を大きく左右することがあるのです。
「自分でこの会社に決めた」と本人が感じられるように。私たちは、担当者を中心に考えるためのツールを作ったり、実習期間(おおよそ4〜5日間)の振り返りシートを用意したりしています。たとえば、ある利用者さんから「A社とB社、どちらが良いのかわからない」と相談を受けました。

そこで、今の職場と実習先を6つの項目で比べる表を一緒に作りました。実習が終わったら、その表を見返しながら「自分はどんなことを感じたのか」を話し合う約束をしています。
これは一つの例にすぎませんが、私たちの仕事の本質は、一人ひとりの特性に合わせた“考える力”を支えることだと思っています。「自分で決める」という経験を重ねることで、人は少しずつ、自分を信じられるようになっていく。その瞬間に立ち会えることが、私たちにとって何よりの喜びです。
日々の支援は本当に紆余曲折ありますが、いつでも「一緒に考えるよ」と声をかけられるホームでありたいです。
【文責:花岡】
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