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10年という月日

街を歩いていると至る所で新緑を目にするようになりましたね。そんな気持ち良い季節もあっという間に、灼熱の夏に覆われてしまうのだろうと・・・心地よい風を感じながらも既に今年もやってくるであろうとてつもない暑さの夏に怯えています。


さてさて今週、ひとりの利用者さんのお誕生日がありました。このホームでお誕生日を迎えるのが10年目の方です。10年・・・一緒に日々を重ねてきました。

実は、今年はすずらんに来て10年目という利用者さんが何人もいらっしゃいます。

(すずらんの前身のグループホームの時から一緒に過ごしている利用者さんが半数程いるのです。)


10代後半でホームにやってきた頃は、自分自身という存在・特性(障がい)・生い立ち・恋愛など数え切れぬ悩みで自分自身が押し潰されそうになった瞬間が何度もありました。

その度に関わるスタッフ達や地域の相談支援員、時には警察のご厄介にもなりました。

それでも10年を振り返ると、本当に「全員」が「間違いなく」成長しています。

男子が男性になり、女子が女性へ。若々しかった方が老いを感じる瞬間を一緒に迎えたり。

それでも彼らは日々グループホームでの生活を通じて、日中のお仕事の場を通じて、確実に前へと進んできていました。


グループホームで10年。なかなかの年月です。

一緒に時を過ごすことで、一緒に泣いたり、怒ったり、笑ったりと毎日がジェットコースターのようで・・・今日は静かだったねという日は未だに1日もありませんが(苦笑)

彼らは今日も必死に生きています。10年経ったからと言って、彼らの辛さが消えることはありません。それでも昨日よりは少しでも良い1日にしようと声をかけ続けるスタッフ、栄養や好き嫌いをしっかり把握してくれて日々の食事を提供してくれるスタッフ。どうしたら社会で生きやすくなるのかと対応策を考えるスタッフ。スタッフ一人一人が彼らとどう向き合っていけば彼らの人生が前を向けるかを日々考えています。


彼らが10年ということは、私たちスタッフもホームの外で支えてくださっている方々も10年という月日が経っています。ひとりの利用者さんが精神的に頼り切っているドクターは今年86歳になっていたり、すずらんのスタッフにも20代は一人もいなくなりました。

支援する内容も10代の若者向けの支援から、大人として(社会人としての悩み)に変わったり、高齢者向けの支援をどこまで行えるのかという内容になったり、支援者として求められることも変わってきています。


いつかすずらんを巣立って一人立ちしたいと願っている方もいますし、様々な事情ですずらんを離れる方もいます。また「ずっとずっと居たいんだ」と訴えてくる方も・・・。

障がい者グループホーム(共同生活援助)という国が決めた支援の形。この形でどこまで

彼らの人生に寄り添ったり、支えたりができるのか。

入居者の平均年齢が33歳になったすずらんは、この先も変化を恐れずに目の前の利用者さんとの日々を大切にしていきたいと考えています。





ホームページにも使われているこの写真。利用者さんとスタッフ全員のマグカップ。

この写真を見る度に、一人一人の笑顔が浮かぶのです。


【文責:花岡】









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